若嶋津六夫(わかしまず むつお)

以前は「高校相撲出身者は大成しない」という事が良く言われていましたが、そんな声を見事に打ち破って大関に昇進したのですから、見事ですね。そういえば今ではこういう事はあまり言われないようですね。ひょっとしたら若嶋津の功績なのかもしれませんね。

若嶋津で目立つのは、体が小さかった事ですね。下のころはあばら骨が浮き出ていて、痛々しいような感じがありました。そんな体格で大関になったのですから、これは本当に稽古の賜物といえますね。入門したのが二子山部屋だったのも良かったかもしれませんね。小兵で悩んでいたあの貴ノ花の部屋ですから、いいお手本が常に眼の前にいるわけです。これは無形の財産となったでしょうね。

実は若嶋津の相撲は、これといって売り物になるものがあるわけではありません。結局、動いて自分の体勢を有利に持って行って勝つ相撲だったといえます。それでいて十分強いと言う印象を与えていたのは、この人の精神面の強さを物語っていますね。あまり不安定な感じがないのは、コンディションの作り方がうまく、それが精神面とうまく作用したからでしょうね。それで2度も優勝するような活躍ができたのだと思います。大関として十分な役割をはたした、そんな感じがあります。

若嶋津の引退は突然な印象があります。それは故障が原因で、あっけなく土俵を去る事になったからです。やはり故障をすると体がない分持ちこたえられなくなってしまうのでしょうね。しかし本当に横綱まであと一歩、そんな時期もありましたから、あるいはあっさり土俵を去った方がいいイメージが残ってかえって良かったかもしれませんね。

若嶋津のおもしろいところは、人気歌手と結婚した事ですね(あんまりおもしろくないか)。二人で焼酎を飲んで意気投合したのがきっかけ、というのがいかにも鹿児島出身ですね。相手は実力派の歌手だった高田みずえです。いい歌手でしたね。本当に引退したのがもったいない。今では部屋のおかみさんとして、活躍しているのですけど、もう現役復帰はないのでしょうね(離婚を望んでいるわけではないですよ。あの南沙織が復活した時、次は高田みずえだ、なんて声もありましたっけ)。

ところでこの若嶋津夫妻が注目を集めた事がありましたね。あの宮沢りえ・貴ノ花の婚約騒動の時ですね。有名人同士のカップルとしてよく談話を求められたりしていましたね。これで逆に若嶋津夫妻がうまくいっているのが判ったりして、こっちのほうがうれしいニュースでしたね。

それにしても宮沢りえと貴ノ花はなぜ壊れたんでしょうね?あのときまとまっていたら、・・・

おっと、若嶋津の話でした。引退後は松ヶ根親方となって、部屋をおこしました。それから解説者としてもよくテレビ・ラジオに出演しています。小兵力士の通例ですけど、明解で、判りやすい解説ですね。やはり技術で補って来た面があるので、取り口の分析なんかも判りやすいですね。ま、欲をいえば印象がさわやかである反面、ちょっと遠慮勝ちなところがあるので、その辺が物足りなく思う時もありますね。

部屋からはまだ目立った力士が出ていませんが、勝負はまだまだ。キビキビしたいい力士を出して欲しいですね。


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